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原点に戻る その11

『利用者を理解する』

ー 大出 京子 ー

 『利用者を理解する』っこと、頭ではわかってる・・・つもり。

 でも、実践の中で活かされているでしょうか。できています!ホントに?

<訪問介護員のここからはじめる認知症介護>より抜粋
 何回も同じことをきく、ついさっき食事したことを忘れる、徘徊し家に帰れない、妄想がはげしいetc・・・などの認知症の症状。認知症は65歳以上高齢者の約7〜8%に出現する病気です。高齢になるほど出現率は高くなります。日本人女性の平均寿命である85歳をこえると出現率は25%、およそ4人に1人の病気となります。
  代表的な疾患としては、脳卒中や脳梗塞が原因で起こる「脳血管タイプ」と脳の萎縮性の「アルツハイマータイプ」があり、認知症全体の8割以上を占めています。

 

 認知症の方は、もの忘れの病気なので、周りは大変だけれど本人は気楽なものだという人がいますが、これは間違いです。認知症とは、忘れたいことだけではなく、忘れたくない大切な思い出も少しずつ失われていく病気なのです。認知機能に障害が起こると、自分の居場所がわからなくなったり、被害的な感情が起こることもあります。また知っている人でであっても、知らない人と思い込んだりすることもあります。私たちでも、自分の周りが知らない人ばかりで、自分がどこにいるのかがわからない状況だとしたら、とても不安になるでしょう。周りの人から疎んじられたり、邪魔者扱いされたり、あるいは自分の居場所がないとしたら、誰でも落ち込んできます。認知症とはそんな病気なのです。また家族も大変な思いをして介護に当たっています。また介護疲れが原因で虐待が起こったり、痛ましい事件が起こったりするなど深刻な問題を抱えているのです。

 認知症の人は、何もわからない、何もできない存在と思われていますが、認知症の方であってもできることはたくさんあります。何ができて、何ができなくなってしまったのかを見極め、できなくなってしまった部分だけに手をさしのべてください。できることはなるべくやってもらう方が、残存機能の維持にもつながりますし、何より本人の自信につながり、自分らしい生活を送れるようになるのです。

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 島根県出雲市に「小山(おやま)のおうち」というデイケアがあります。70代から90代までの、いずれも医者から認知症と診断された人たち15人があつまっています。
  そこでの取り組みに、本人に手記を書いてもらい、手記の内容をみんなで発表するということを行っています。互いの思いを知り合うことで心が和み、生活にゆとりが生れればという考えからです。ほとんどの方が、認知症になったことを嘆き、不安を訴えています。

  とかく、物忘れがあると、はずかしい気持ちになる。
  物忘れがあっても気にならない社会があるといいなあ。
  ぼけは脅威です。恐れています。
        ―NHK福祉ネットワーク こころの相談室より―

  認知症の方に限らず、わたしたちが訪問する方々は、身体機能が低下し、自分で自分の生活を維持するのが困難になった方です。その方が、できなくなったことだけを行うのがヘルパーではありませんよね。
  ≪わかっまてす。ヘルパーとして精一杯限られた時間の中で頑張っています。≫ 
  こんな声が聞こえてきそうです。でも、誰に対して頑張っているの?もしかして、自分自身のためでは?全てをしてあげていることが、利用者にとってよいヘルパーではないですよね。利用者の方の力を信じましょうよ。力を引き出す技術をもっている人が優秀なヘルパーです。そのためには、相手を理解すること。よく話しを聴くこと。それが、援助者の基本の気です。

『あるご利用者の最近のご様子』
(ご利用者のご家族が書かれた文章を、ご了解のもと掲載させていただきます。)

 朝昼晩が分からない
  一日3回の食事は規則正しくとる。食後は自分の部屋で横になっていることが多い。 特に夕食の時、「晩ご飯ですよ」と声をかけないで、「ご飯の用意ができました」とだけ言うと洗面をし、仏壇の花の水を換え、線香をあげたあとで食堂に現れる。そして、「おはようございます」と挨拶するので、夕方を朝だと勘違いしていることが分かる。
  更に、その足でせっかく閉めた雨戸がわりのシャッターを開け始めたこともあった。そこで、テレビでプロ野球のナイトゲームの中継をしているのを見せて「晩ですよ」と言うのだが、「野球は朝でもやっている」と切り返す。確かにアメリカの大リーグは時間差の関係で朝に中継していることもある。
  また、せっかく夕食が自席に並べてあるのに、それを左手ではらって「食べません」といい、いつもの朝食のパンをたべたことが2度。朝食をとり、すぐ横になって朝の9時ごろ「おそうまで寝た」と言いながら起きてきて、また朝食を食べたことが一度。1回目と2回目の朝食をとっている姿を別の家族が見ていたので、話をつき合せて朝食を2度とったのが分かった。

 

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マーガレット通信は、毎月一回、フォーユーで働く介護スタッフを対象にした通信です。介護・福祉全般に役立つことをここでは紹介します。

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